環境に配慮した製品
CFRP製切削加工用厚板プレート「フェルカーボ」の開発
CFRPとは
CFRPはCarbon Fiber(炭素繊維)Reinforced(強化)Plastics(プラスチック)の略で、金属に代わる素材として、航空、宇宙用途や自動車用途を中心に急速に需要が拡大している材料です。CFRPの特徴の一つとして軽い、強い、錆びないなどの特徴をもった次世代の材料です。しかし、未知の部分が多く実用化の歴史は浅い状況であり、世界中の企業や機関で研究が行われています。
CFRPの課題
CFRPを産業部品として利用するには、加工し難いことや高価格になるなどの課題があります。加工し難い原因として従来のCFRPは、炭素繊維を織り込んだ布を使用するため、配向性が強く切削加工時に切断面が毛羽立ちやすいという欠点がありました。
当社製品「フェルカーボ」の特徴(軽量化による寄与)
当社のCFRPは、フェルト状の炭素繊維を用いており、商品名を「フェルカーボ」としました。「フェルカーボ」は配向性が弱いため、超硬切削工具による高精度加工を可能としています。また、金属の中でも軽量なアルミ合金と比較しても比重はわずか1/2であり、強度は、アルミの1.3倍と優れています。
金属部品からの置き換えにより、高速可動部品の軽量化や、運搬性向上などの効果が見込め、機械や作業者にかかる負荷の低減や生産性の向上などに貢献します。
環境への効果
CFRPプレート サーボプレス機適用事例
サーボプレスのセンタープレートを軽量化(鋼材→CFRP)することにより、プレススピードの向上と消費電力の低減を目的として開発。
- センタープレートサイズ:450×320×35mm
- プレート重量(鉄):34.3kg ⇒(CFRP:5.9kg)
効果
①プレススピード
7spm → 最大279spmまでアップ可能
②消費電力
30%低減
③CO2削減効果
約196kg/年(サーボモータ消費電力750W、1日8時間駆動、220日/年)
ホットランナシステムの製品化
ホットランナシステムとは
通常の射出成形において、熱を加えて溶融化した成形材料を金型の成型品部に送り込む際、「樹脂流路」となるランナは固化するため、取り除く必要があります。(コールドランナ)
これに対してホットランナシステムは、樹脂流路をヒータで加熱することにより樹脂の溶融状態を維持することが可能なため、取り除くランナが成形されないシステムです。
ホットランナシステムの効果
省資源・廃棄樹脂の削減
- 樹脂量(材料)の節約ができます。
- 不要部分は成形しないため、廃棄樹脂が発生しません。
製品化能力が増大
- 冷却固化時間が短縮され、成形サイクルの短縮が可能です。
- ランナ部の切断がなくなります。
成形品の形状安定化
- 流路での樹脂温度低下を抑制できるので、成形品の形状安定化につながります。
金型内の“見える化” 金型内計測システムの製品化
金型内計測システム(モールドマーシャリングシステム)とは
従来ブラックボックスとなっていた、金型内の樹脂圧力や樹脂温度、金型表面温度などを、金型内に設置するセンサーと専用アンプによって、リアルタイムに金型内の樹脂挙動を波形で計測できる製品を開発しました。
従来は計測したいデータごとに専用システムを使用していたため、各項目の相関関係を調べられませんでしたが、本機は1台のパソコンに複数の情報を取り込めるため、多角的な解析が可能となり、金型内評価、最適な成形条件の設定により、不良品の発生が防止でき、射出成形の金型設計から量産まで「短納期」、「高品質」、「低コスト」に貢献できる製品です。
金型内計測システムの効果
- 不良品の発生防止、不良品の自動選別、不良品の流出防止(資源の節約、廃棄物削減)
- 成形機変更時、良品時データ再現による成形条件設定の短縮(エネルギ―使用量の削減)