有機ELデバイス用塗布型乾燥剤 OleDry-P2を開発
パッシブ型有機ELデバイスの長寿命化と薄型化が可能に
当社は、有機ELディスプレイや有機EL照明などのパッシブ型有機ELデバイスの長寿命化と薄型化が可能な塗布型乾燥剤「OleDry-P2(オーレドライ ピーツー)」を開発しました。
当社はこれまでに、中空封止構造の有機ELデバイス用塗布型乾燥剤として、捕水成分に有機金属化合物を使用した「OleDry-S」を開発・販売しておりましたが、捕水成分に無機化合物を使用した塗布型乾燥剤「OleDry-P2」を新たにラインアップに加え、有機ELデバイス用乾燥剤の拡充を図ります。
今回開発した「OleDry-P2」は「OleDry-S」に比べ1.5倍以上の捕水能力を持つため、今後成長が予想される有機ELデバイスの長寿命化と薄型化の実現が期待できます。
有機ELデバイスの特徴と「OleDry-P2」開発の経緯
パッシブ型有機ELデバイスは、ガラス基板上に有機EL層を形成し、これをガラスや金属から成る封止板により封止する構造となっています。有機EL層は外部から浸入する水分の影響により非発光部が発生するなど、極端に水分を嫌う性質を有することから、封止板は凹状に加工され、その凹部に乾燥剤が固定された中空封止構造が主流となっています。中空封止用の乾燥剤には、当社の塗布型乾燥剤や酸化カルシウム粉末を吸着させたシート型乾燥剤が使用されています。
パッシブ型有機ELデバイスの用途として、スマートバンドに代表されるウェアラブル市場が急速に成長しており、このウェアラブル向けデバイスの薄型化に対する要求が強くなっています。シート型乾燥剤は厚さが約0.2mmであるのに対し、当社の塗布型乾燥剤は0.1mm以下の形成が可能であることから、有機ELデバイスの薄型化に有利である一方、乾燥剤の更なる薄膜形成に対応するため、塗布型乾燥剤の捕水能力の向上が期待されていました。
OleDry-P2の特徴
- 捕水成分にアルカリ土類金属の酸化物粉末を使用した高捕水性能の塗布型乾燥剤です。
- 従来の「OleDry-S」に比べ1.5倍以上の高い捕水能力を有するため、パッシブ型有機ELデバイスの長寿命化を可能にします。
- シート型乾燥剤の厚さは0.12~0.30mmであるのに対し、塗布型乾燥剤は0.1mm以下の薄膜形成することで、
パッシブ型有機ELデバイスの薄型化が可能になります。 - ディスペンサによる塗布形成が可能です。ディスペンサを使用すれば、塗布プログラムの変更のみで多品種対応が可能になります。
- 溶剤成分を含まないため加熱乾燥工程を必要としません。
- 有機ELデバイス以外にもMEMSや太陽電池など、水分を嫌う電子デバイスに広く利用することが可能です。
OleDry-P2の仕様
OleDry-P2 | OleDry-S | |
---|---|---|
捕水成分 | 無機化合物 | 有機金属化合物 |
大気重量増加 ※1 | >18 wt% | ― |
捕水容量 ※2 | 13 wt% | 8 wt% |
粘度 ※3 | 180 Pa・s | 400 Pa・s |
外観 | 白色ペースト | 透明液体 |
※1 乾燥剤と反応した大気中の水分と二酸化炭素量を計測(23℃45%RH環境48h後の重量増加)
>18wt%とは、OleDry-P2 100gで18g以上の水分、二酸化炭素を吸着することが出来る。
※2 乾燥剤と反応した水分量のみを計測(カールフィッシャー法)
※3 粘度は数値が低いほど柔らかくなることを示す。
OleDry-P2の外観
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シート型乾燥剤と今回開発した塗布型乾燥剤を用いたパネル構造図
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